心に届く歌
『お嬢様』
『ドク!彼は!?』
『大丈夫ですよ、どうぞ』
ドクは普段は医者と看護師以外入ることの出来ない処置室に、わたしを入れてくれた。
包帯など置かれた処置室の中央に置いてあるベッドの上には、彼が荒い呼吸をしながら眠っていた。
頭には大きな包帯を巻いていた。
『無事……なのね?』
『ええ。
ですが非常に危ない状態でした。
熱が高く衰弱も激しく、現在解熱剤と栄養剤の点滴をしております。
それに何より……怪我がとても多いのです』
ドクは薄い布切れのような彼の服をそっとめくった。