心に届く歌
☆エルside☆
『ちょっ、おい、何しているんだよ!』
「開口一番何よアンス……ふぁ…」
次の日、わたしはアンスからの電話の着信音で目覚めた。
重たい瞼のまま電話に出ると、いきなり焦った声。
朝の5時だというのに元気なものね……。
『テレビ観ろテレビ!!』
「テレビぃ……?」
わたしは欠伸をしつつ、隣のシエルを起こさないよう立ち上がり、テレビを点けた。
画面の中ではキャスターらしいお姉さんが、早口で記事を読んでいた。
『繰り返しお知らせします。
我が王国の正統王位継承者であるエル・ソレイユ様と、
昨日行われました学力テストにおいて2位の成績を修めたシエル・セレーネさんの熱愛報道がはいってきました。
このおふたりについてプランタン・ソレイユ国王様は、早急に真実を調べてからまたお答えすると当局の記者に言っていました。
繰り返しお知らせします……』
「……何よ、これ…」
熱愛報道って、芸能人?
わたしは芸能人扱いなの?
『エルちゃんとシエルが抱き合っている写真がめっちゃ広がっているんだ』
「……プーセの仕業よ」
『は?プーセ?』
「昨日わたしの部屋に来たのよ……。
写真を盗み撮りして……プーセが新聞社やテレビ局に送ったんだわ」
『つーかどうするんだ?
国中今大混乱っぽいの起きているぞ!』
「何か進展したらまた電話して」
わたしは通話を終え、部屋を出て行く。
重かった瞼はもう軽くなっていた。
「シエルに何かある前に何とかしなくちゃ……!」
わたしは廊下を歩いていたものの、遂には走り出した。
目指すは取材を受けたらしい、お父様の部屋。