心に届く歌
☆アンスside☆
「お世話になります、アンス様」
「おいおい、いきなり堅苦しくなるな。普通でいろ」
「……わかった」
家に通し、俺の部屋へ呼んだ途端深々と頭を下げてくるシエル。
俺はシエルの手から鞄を取った。
「それで?僕は一体何をすれば良い?」
「何もしなくて良い。ゆっくりしてろ」
俺はシエルの荷物を、箪笥の空いている部分に詰めていく。
「良いよそこら辺に投げても」
「良いって。
どうせすぐに戻るんだろ」
「……戻らない。
エル様の元には絶対戻らないよ」
ぐっと唇を噛むシエル。
俺は腕を引いて椅子に座らせた。