心に届く歌
「見て。包帯多いでしょ?」
「……っ」
「他にも包帯がいっぱい巻かれているの。
頭にだって」
「……痛っ」
「傷が癒えるまで触っちゃ駄目よ」
頭の包帯に触った彼は痛みで顔をしかめる。
わたしは苦笑いを浮かべた。
何だか天然な彼が面白い。
「熱だって高いんだから、下がって傷も全部癒えてから、出て行きたいのなら出て行って良いのよ。
しばらくは大人しくしていてね」
「…………」
「お返事は?」
「……ありがとうございます…」
話し疲れたのか、眠りに落ちる彼。
わたしは手を握ったまま、小さな声でドクに目覚めたことを連絡した。
『では後でお部屋に伺いますね』
「お願いドク。
……あとね、お願いがあるの」
『お願いですか?』
「ええ。
ドクにしか頼めないことなの。
報酬は好きなだけあげるから」
『……お嬢様のお頼みでしたら、何なりと』
わたしはお願いを言い、通話を終えた。
「……悪いわね、これがわたしのやり方よ」
あなたを救うと決めたから。
これがわたしの、やり方。