心に届く歌
それから数ヶ月後。
冬真っ只中になってきた時、わたしは元気な女の子を出産した。
すぐさまそのことは国中を駆け巡り、国中が101代目国王の誕生を喜んでいた。
わたしに続いての、女性国王の誕生だ。
彼女にも、幸せな恋愛をしてほしい。
初産なので入院し、退院が決まった次の日。
わたしは初めて娘を、シエルを初めとした国民に知らせることになった。
本当は生まれてすぐシエルに紹介したかったんだけど、
丁度出産日とシエルがお母様と一緒に別の国へ出張が決まってしまい、
「絶対戻って来ますから!」と約束してシエルは出張に向かった。
お母様とシエルが数日いない。
まるで結婚式のあの日が再現されているようだった。
「うわぁ可愛いなぁ。お祖父ちゃんだぞぉ」
「お父様ったら……」
わたしの腕の中で眠る娘を見て、笑うお父様。
頬がゆるゆるで、国王だとは思えない。
「名前は決めたのか」
「ううん。シエルと一緒に決めようと思って」
「そうか!」
嬉しそうなお父様を見ていると、お母様が入ってきた。
「お母様!久しぶりね」
「久しぶりエルちゃん。この子が次期国王様?」
「本当の次期国王はわたしよ。
この子は101代目国王様よ」
「ふふ、シエルくんに似て可愛い子ね」
「……わたしじゃないの?」
「あら。女の子はお父さんに似るものよ。
エルちゃんもお父様にそっくりよ」
「えー!そうなの!」
笑っていると、時間になる。
外では子どもの披露を待ち侘びている国民と父親が待っている。
わたしは娘を丁寧に抱き上げ、部屋を出て外に出た。
『出てきました!
エル・ソレイユ様とシエル・セレーネ様とのご息女です!』
変わらずテンション高く、執事長が司会をする。
シエルはリュンヌ王国王子だとわかったため、リュンヌを名乗るべきだとわたしは言ったのだけど。
シエルは頑なに、セレーネを名乗ると譲らなかった。
どんなことがあっても両親だ、と。
変な所で頑固になるシエルだから、わたしは「シエルが良いなら」と了承した。
まぁ、わたしが正式に国王になったら、セレーネでもリュンヌでもなくて、ソレイユになるんだけどね。