心に届く歌







「エル。
あなたは我が王国の次期国王様なの。

あたくしと同じお妃じゃなくて国王様。
お父様と同じ立場になるのよ。

そんなあなたが木登りだなんて、また反発者が増えるわ」


「だってあの木大きいでしょ?
登ると中心街が見えるから大好きな場所なんだ」




わたしが住む家は

国の中心街から少し離れた小高い丘の上に建っている。

家を囲む塀が高くて見ることは出来ないから、

小さな頃のわたしが見つけたのがあの木。



わたしが生まれた時に記念に植えたという木は

わたしと一緒に育ってきたいわば幼馴染。




登ると中心街が見えるからお気に入りの場所なのに、

わたしの次期国王反対の反発者が増えるからと、

上った数日間は色んな人から「駄目」と言われてしまう。




わたしはソレイユ王国の次期国王だからって。

その自覚を持ちお嬢様らしく行動しなさいって。




耳にタコが出来るわよ……まったく。




< 9 / 539 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop