オオカミくんのトリコ
「階段はないけどね、この家はおもしろい仕掛けがいっぱいでしょ?」




結衣が二階の廊下にある本棚の前で立ち止まる。




「まさか……?」





「さ、羽衣開けて!!」





さすがに結衣でもここの扉は開けられない。





私は紺色の背表紙の英語で書かれた分厚い本をカタンと本棚から取り出す。





「自動で開いたりはしないんだけどね?」





自動ドアではないため本が入ってたところの隙間にポケットから出したアンティークな鍵を差し込む。奥にカギ穴があるんだ。






「すごーい!!」





カタンと回して鍵を開けた私は本棚を横にスライドする。





そこに現れたのはまぎれもなくはしご。


一畳ほどのスペースにあるのはそれのみ。
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