オオカミくんのトリコ
「みっちゃんもう来てたの!?早いわね~」
なんだかんだで七時過ぎ。お母さんが帰ってきて。
リビングの机に私、朝陽。向かい合うようにしてお母さんとおばさんが座ってる。
「で。なんで母さんは突然?」
さっきまでの‟捻くれた反抗期の中学生”から‟ニコニコ王子様”に変身した朝陽がおばさんに問う。
「実はねえ、ゆっちゃんが大変なことになりまして……」
ゆっちゃんとはうちのお母さん、稲葉優子のこと。
「お母さんがどうしたの?」
「実は……」
私は何を言われるのかハラハラしていた。