オオカミくんのトリコ
「基礎すらわかんねえのに応用問題解けるわけねえだろ?」




突然私の体の左右に誰かが手をつき、頭に顎をのせた。



_って言ってもうちにいる人は私除いたら一人しかいないわけで……




「朝陽、起きてたの?」




「今起きた。お前ホント大丈夫なのかよ。留年すんぞ?」




「そんなこと言わないでよ!!しょうがないじゃん分かんないんだから!」




頭のいい朝陽には分からないよ。



いつも学年首位で。全部90点以上で。




「ムキになんなよ。ここ、違う。」




朝陽は私の向かいに座って私がさっき解いた問題を指さす。




「ここはこの公式を使うんだよ」




「え、どこ?」




まさかあの朝陽に勉強を教えてもらえる日が来るなんて。
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