オオカミくんのトリコ
「よっ」



俺は寝ている羽衣を起こさないようにそっと抱き上げた。



落とす訳はないけどとにかく慎重に。



ガチャ




「……おやすみ、羽衣」




俺は羽衣の部屋まで羽衣を運び、ベッドに寝かせて毛布をかけてやった。




普段の俺なら。相手が羽衣じゃなければ。俺はこんなこと絶対しない。



「一応、大切なやつだしな……」




普段は意地悪してばかりだけど、実はタカラモノなんだ。


そう実感した一日だった。

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