オオカミくんのトリコ
「あー…屈辱!!」




私は階段を大きな足音を立てながら降りていく。




「羽衣ー?なんかあった?」




階段を下りきる前にリビングからお母さんが顔を出す。





「な、なんでもないよー?アサヒももう降りてくるって」





「そー?何にもないならいいけど……」









さっきのムカつく男は夕月朝陽(ゆうづきあさひ)。幼なじみであり同居人。




奴の両親は転勤族で、小さい時からいろいろな所に連れまわされて育ったらしい。




その転勤ラッシュが落ち着いたのは確か私と朝陽が小学1年生の時。夕月一家はうちの隣に引っ越してきた。




__それから数年して私達が中学2年生の時。朝陽の両親はついに海外に転勤が決定した。




さすがに海外までは連れていけないという朝陽の両親のはなしを聞いたうちのお母さんは……




『朝陽くんはうちに住めばいいわ』




それでこうなった。
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