お菓子工房【改】

バタッ


誰かが倒れる音がした。

少しだけ後ろを向くとどうやら瑞子さんのようだ。

私は目の前が歪んだ。伊織もミリアもカイリもテーブルも…

そして歪みが戻ったと思えば目元があたたかくなる。


ああ…


「はい!終わりです!皆さん止めてもいいですよ!」


私は力が抜けて座り込んだ。


ジャージで汗をぬぐっている伊織は余裕の表情を浮かべている。


「瑞子さんが失格ですね。3時間は持つと思ったんだけどなー」


そう言うミリアの傍でカイリが瑞子を呼ぶ。瑞子は諦めたようにカイリの後に続いていた。


「瑞子さん!!!!ありがとう!!!!」


私は最後の力を振り絞って叫んだ。


< 96 / 197 >

この作品をシェア

pagetop