約束のキミを。
私の家族
目が覚めると、いつもと少し違う天井が見えた。
きっと、ここは個人部屋だ。先生達が念の為に場所を移したのだろう。
私倒れたんだ…。
みんなに心配かけたよね…。
「美空!!目が覚めたのね…。」
いきなり声がして、横を向くとお母さんがベッドの横に座っていた。
その奥には、お父さんも立っている。
え?なんで…
寝起きの頭で考えてもわけがわからなかった。
だって、いつもこのくらいなら、会いに来たりしない。
「お父様、お母様、ご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありません。お父様お仕事は?私のためなんかに会いに来る時間無いでしょ?手間を取らせてしまってすみません…。」
頭を下げた。
ぽんっ
その下げた頭を、お父さんがそっと撫でた。
「美空!私は、君の父親なんだから、父親は娘を心配するのが当然だろう?君の方が仕事よりも大事なんだから。気にするな。」
え??お父さん?
今度は、お母さんが私の事を涙目で見つめながら言う。
「実は、さっき、あの蓮太君から、連絡があったの…。
美空が一人でずっと苦しんでいるのを見てみぬふりをしてそれでも親なんですか?
子供に我慢させるのが大人なんですか?って聞かれた。」
え…。レンが?
「ごめんなさい。本当はわかってたのよ…。あの子に言われる前からわかってたの。
でも、目がやっと覚めた。ごめんなさい。
あなたが寂しい思いをしていること、甘えたい時期に全然甘えさせてあげられなかったこと。気づいてたの。本当は。
でもね…。
美空が私達がいると無理して一生懸命笑うから、気を使ってるのがわかるから、お母さんもお父さんもね、見ていられなかったの。
辛そうに笑う姿から見をそむけてしまったの。
その方があなたにとっては楽なんじゃないかと思ってしまったの…。
それがあなたをよけいに苦しめていたのね…。」
お母さんは、悲痛そうな顔をする。
え???うそ…。そんなの…。
「そ、そんなの、ウソ!ありえない!
私は、いらない子なんでしょ?
こんな子ほしくなかったんでしょ?
女で体の弱い私は、会社を継げないし、まともに学校にすらいけない、完璧なお母様やお父様から見たら、私なんて恥ずかしい子だよね…。」
お母さんは、はっ!とした表情で私を見つめた。
「美空…。あの時の話、聞いてたのね…。」
お母さんが呟く。
「私なんて…。私なんて…。生まれてこなければい良かったのよ!いらない子なんだもの!私なんて…。」
感情的になって、近くにあった枕を投げつけてしまう。
そう、私なんて…。私なんて、いらないんだ!!
「そんなわけない!」
お母さんは、涙をボロボロとこぼしながら叫んだ。
「お母さんはね、愛してたから、あなたの事を、一生懸命産んだの。生まれる前からずっと愛していたから…。
今さら、言い訳みたいだけれど、あの時ね、倒れて、苦しんでいるあなたに、私は何もしてあげられなかった。
どうしてこんな風に産んでしまったんだろう。
どうして元気に産んで育ててあげられないんだろうって、自分を責めてたの。
でも、そのせいであなたを不安にさせてたのよね…。
悪いのは、私なのよ。
あなたは、いらない子なんかじゃない、大切な子よ。
世界でたった一人の私の愛おしい娘。
あなたがいなくなったら、私は、生きていけない。」
お母さんの、こんなに泣いて私に気持ちを伝えてくる事なんて今までなかった。
「うそ…。じゃあなんで、私の名前は美空なの?3月9日生まれだからでしょ?こんな名前つけるなんて…。」
ずっと、ずっと言えなかった不満を撒き散らす。
泣いているお母さんの肩にそっと手を乗せてお父さんが私に微笑んだ。
「美空。君が生まれた日の話をしてあげよう。」
「美空が生まれた日はね、お父さんとお母さんの出会ってから5年の記念の日だったんだ。
お父さんは、美空がお腹にいるお母さんを車に乗せて、星がきれいに見える山にドライブに行ったんだ。
そこに陣痛がきてね。
もう。外は真っ暗で近くになかなか建物もなくてすごく困ってる時にね、小山のてっぺんに小さくて、古びた、産婦人科の病院があったんだ。美空はそこで生まれた。
美空が生まれた夜は、空が晴れ渡っていて、本当に綺麗に、星が輝いていたんだ。
まるで、君の事を空全体が見守ってくれているような、君が生まれてきたことを祝福しているような美しさだった。
そして、この子にも、この空のように美しく広い心を持つ人になってほしいと思ってつけたんだ。
その、病院はもうなくなってしまったけど、お父さんにも、そしてお母さんにもとっても大切な場所だよ。だから、君の名前はお父さんもお母さんも大切だし、君自身のことも大切なんだ。」
きっと、ここは個人部屋だ。先生達が念の為に場所を移したのだろう。
私倒れたんだ…。
みんなに心配かけたよね…。
「美空!!目が覚めたのね…。」
いきなり声がして、横を向くとお母さんがベッドの横に座っていた。
その奥には、お父さんも立っている。
え?なんで…
寝起きの頭で考えてもわけがわからなかった。
だって、いつもこのくらいなら、会いに来たりしない。
「お父様、お母様、ご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありません。お父様お仕事は?私のためなんかに会いに来る時間無いでしょ?手間を取らせてしまってすみません…。」
頭を下げた。
ぽんっ
その下げた頭を、お父さんがそっと撫でた。
「美空!私は、君の父親なんだから、父親は娘を心配するのが当然だろう?君の方が仕事よりも大事なんだから。気にするな。」
え??お父さん?
今度は、お母さんが私の事を涙目で見つめながら言う。
「実は、さっき、あの蓮太君から、連絡があったの…。
美空が一人でずっと苦しんでいるのを見てみぬふりをしてそれでも親なんですか?
子供に我慢させるのが大人なんですか?って聞かれた。」
え…。レンが?
「ごめんなさい。本当はわかってたのよ…。あの子に言われる前からわかってたの。
でも、目がやっと覚めた。ごめんなさい。
あなたが寂しい思いをしていること、甘えたい時期に全然甘えさせてあげられなかったこと。気づいてたの。本当は。
でもね…。
美空が私達がいると無理して一生懸命笑うから、気を使ってるのがわかるから、お母さんもお父さんもね、見ていられなかったの。
辛そうに笑う姿から見をそむけてしまったの。
その方があなたにとっては楽なんじゃないかと思ってしまったの…。
それがあなたをよけいに苦しめていたのね…。」
お母さんは、悲痛そうな顔をする。
え???うそ…。そんなの…。
「そ、そんなの、ウソ!ありえない!
私は、いらない子なんでしょ?
こんな子ほしくなかったんでしょ?
女で体の弱い私は、会社を継げないし、まともに学校にすらいけない、完璧なお母様やお父様から見たら、私なんて恥ずかしい子だよね…。」
お母さんは、はっ!とした表情で私を見つめた。
「美空…。あの時の話、聞いてたのね…。」
お母さんが呟く。
「私なんて…。私なんて…。生まれてこなければい良かったのよ!いらない子なんだもの!私なんて…。」
感情的になって、近くにあった枕を投げつけてしまう。
そう、私なんて…。私なんて、いらないんだ!!
「そんなわけない!」
お母さんは、涙をボロボロとこぼしながら叫んだ。
「お母さんはね、愛してたから、あなたの事を、一生懸命産んだの。生まれる前からずっと愛していたから…。
今さら、言い訳みたいだけれど、あの時ね、倒れて、苦しんでいるあなたに、私は何もしてあげられなかった。
どうしてこんな風に産んでしまったんだろう。
どうして元気に産んで育ててあげられないんだろうって、自分を責めてたの。
でも、そのせいであなたを不安にさせてたのよね…。
悪いのは、私なのよ。
あなたは、いらない子なんかじゃない、大切な子よ。
世界でたった一人の私の愛おしい娘。
あなたがいなくなったら、私は、生きていけない。」
お母さんの、こんなに泣いて私に気持ちを伝えてくる事なんて今までなかった。
「うそ…。じゃあなんで、私の名前は美空なの?3月9日生まれだからでしょ?こんな名前つけるなんて…。」
ずっと、ずっと言えなかった不満を撒き散らす。
泣いているお母さんの肩にそっと手を乗せてお父さんが私に微笑んだ。
「美空。君が生まれた日の話をしてあげよう。」
「美空が生まれた日はね、お父さんとお母さんの出会ってから5年の記念の日だったんだ。
お父さんは、美空がお腹にいるお母さんを車に乗せて、星がきれいに見える山にドライブに行ったんだ。
そこに陣痛がきてね。
もう。外は真っ暗で近くになかなか建物もなくてすごく困ってる時にね、小山のてっぺんに小さくて、古びた、産婦人科の病院があったんだ。美空はそこで生まれた。
美空が生まれた夜は、空が晴れ渡っていて、本当に綺麗に、星が輝いていたんだ。
まるで、君の事を空全体が見守ってくれているような、君が生まれてきたことを祝福しているような美しさだった。
そして、この子にも、この空のように美しく広い心を持つ人になってほしいと思ってつけたんだ。
その、病院はもうなくなってしまったけど、お父さんにも、そしてお母さんにもとっても大切な場所だよ。だから、君の名前はお父さんもお母さんも大切だし、君自身のことも大切なんだ。」