約束のキミを。
第六章〜約束〜

寂しいね

千奈ちゃんが、いなくなってから3日がたった。


なんだか、やっぱり寂しくて、なんとなく千奈ちゃんがいないと、いつもみたいな、雰囲気じゃなくて…。

レンと話したりもするし、勝くんも入れて3人でトランプもしたけど、なんとなくしっくりこなくて、あんなにやってたごっこ遊びももうしないし、絵本を読んであげることもないんだ…。













なんとなく、夜寝れなくて夜中起きてしまった。



病院の夜はちょっと怖い。ずっと、入院してても夜は苦手だ。



目の前のベッドからレンの、寝息が聞こえる。



勝くんも寝れないのだろうか、ベッドのカーテンが開いていて、誰もいない。
どこかへ行ったのだろう。

私も立ち上がって、ジュースを買いに部屋を出た。

1回までエレベーターで降りると、ジュース販売機の所の待合室に行く、そこにはジュース販売機の光で照らされた。勝くんがいた。


「勝くん?」

人工的な光に照らされた顔を見つめる。

勝くんは返事をしてくれない。

私は、勝くんの前まで行き



ガッコン



小さな缶ジュースを買った。


「隣、いい?」

勝くんは、何も答えてくれなかったけど、私は勝くんの隣に座って、缶を開けた。

「寝れないの?」

「あぁ」











沈黙が広がる。


でも、あんまり気まずいとは思わなかった。













「お前、寂しいか?」

え!

勝くんから、話しかけてくるとは思わなくて、驚いてしまう。

「千奈ちゃんがいなくなってから寂しい。勝くんは?」

無口でぶっきらぼうな勝くんに、千奈ちゃんはよくなついていた。


寂しいのかもしれない。




「俺さ、あのチビが引っ越す当日の夜、あいつに起こされたんだよ。

お前もレンも寝てたけど、あいつは寝れなかったみたいで、そして俺に言ったんだ。

ここからやっぱり退院するのが怖くて悲しくて寂しくて嫌だって、、泣き叫んだんだ。

ずっと、泣いてた。

そして泣き疲れて俺のベッドでしばらくしたら、寝てしまった。

でも、寝る直前に俺に自分が泣いたことは、みくねぇちゃんには言わないで!って訴えてきた。

その後、目が覚めてからはいつもみたいにお前にもレンにもニコニコしてた。

あんなに嫌がってたのに、心配かけないように。」

知らなかった…。

千奈ちゃんは、やっぱり凄い。

そして、千奈ちゃんは、勝くんにだから素直に泣けたんだろうな。

千奈ちゃんは、本当に勝くんを大切に思ってたからこそなんだろうな…。

勝くんは、遠くを見るような目でこっちを見ると

「あいつは強いよ。
あいつは、悲しいのを一生懸命乗り越えようとしてたんだ。

お前もいつまでもそんな顔してんなよ。」

え…。


「そんな顔って?」

「あいつがいなくなってから、ずっとぼぉーとしてる。レンも、心配してた。」

「ご、ごめん。」


ふっ



勝くんが少しだけ微笑んだ。

「そういうとこ、ムカツク」

勝くんのこんな表情、初めて見た。

前にも言われた、言葉だけど今回はなんだか、優しくて、前を向かなきゃって思えた。


「ありがとう。勝くん。」


勝くんは、何も言わず立ち上がって、先に病室へ歩いて行った…。



残された、私は、もう一口缶ジュースを飲んだ。
ひんやりしていたけど、私の心の中はポカポカとしていて、でもなぜか泣きそうな気持ちになった。
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