約束のキミを。
二人の時間
朝から、にこにこ私のベッドにレンが来る。
「レン!おはよー」
私も微笑むと、レンが嬉しそうな顔をする。
「よかった!元気になったんだね。みくずっと元気なかったから。」
「ごめんね、心配かけて!復活したよ!千奈ちゃんもきっと頑張ってるもん、私も頑張らなくっちゃ!」
私が、自信満々に言って笑うと、レンはくりくりした大きな目を少し細めて言った。
「そっか、もう大丈夫だね。安心した。俺、みくの笑ってる顔好き!」
レンはそういう事をサラッとなんの、下心なく言ってしまう。本当にストレートに。
言われた私のほうがなんだから、照れくさいような気持ちになる。
「じゃあ、みく!今日は何する?」
「サッカーしようよ!」
「みくサッカー出来ないじゃんかー!」
「いいのー!見るのが好きなのー!」
「みく、ルールも知らないくせにー!」
そんなことを言い合いながら、レンがサッカーボールを持ち、屋上へと上がった。
松葉杖があるのにもかかわらず、利き足じゃない方の足で器用にボールを蹴る。まるでレンとボールが糸でつながってるんじゃないかっていうぐらいに綺麗に、ボールが壁にぶつかって返ってくる。
「レン上手!」
「ありがと!俺さ、将来の夢プロになることだ!怪我なんかに負けられねーよな!」
レンが苦笑気味に言う。
「プロかぁー。すごいね!応援する!」
「本気にしてないでしょ?」
「してるよ!和斗がプロになれるくらい上手いって言ってたもん。私も、レンには夢を叶えて欲しいもん!レンなら、やれるよ!」
レンが、驚いた表情をする。
「え…。和斗が…。」
噛みしめるように呟いたあと、くしゃっと笑う。
そして
「よっしゃ!すげー、うれしい!じゃあ、みくにも応援されてるし、頑張らなきゃね!」
やる気いっぱいという感じで、サッカーボールを思いっきり蹴り飛ばした。
「レン、やりすぎー笑」
私は、苦笑する。
「だなー。ごめん!」
すると、レンは少し真面目な顔になって
「あのさ、みくに言わなきゃいけないことがあるんだ…。実は…。「ビューー!!」」
え?
強い風がふいた。私の長い髪が風に揺れる。
「え?ごめん。聞こえなかった。」
私が言うと、レンは少し困った顔をして、「やっぱ、何でもない。」と、呟いた。
どうしたんだろう…。
「それよりさ!みくは?みくの夢は?」
「私?私は…。うーん。思いつかないや!」
「じゃあさ、夢ができたら俺に教えてよ!俺も応援するからさ!」
「うん!約束ね?」
「うん!」
二人で、笑いあった。
繋いだ小指と小指、私の人生で2回目のゆびきり。