約束のキミを。

驚き



レンの病室から戻ると、勝くんがいた。
「レン、目を覚ましたよ。勝くんいろいろありがとう。」

「よかったな」

勝君は、素っ気なく答えて漫画を読みはじめた。

私も、本を手にとって読み始める。






「あら?二人だけだと静かねー」

夕食を持ってきた、看護師さんがニコニコ話しかけてくる。

「そうですねー。」


「でも、もう少ししたらこれが普通になっちゃうのかぁー。退院は嬉しいけど、寂しいわね」


え!?

「退院って?」

私が聞くと、看護師さんは慌てて

「あれ?蓮太くんから聞いてない?蓮太くん明後日退院するのよ。」

えっ…。

声が出なかった…。そんな…。


 看護師さんが病院から出て行く音が遠くに聞こえながら、私は呆然としていた。

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