約束のキミを。

夜空の記憶

ガラッ

レンが帰ってきた。

レンは、泣いている私と、側にいる勝くんを交互に見て

「勝!みくになにしたんだよ!」

勝くんを、怒った顔で見つめる。


「お前のせいだよ。おまえが泣かせたんだ。」

勝くんが、レンをじっと見つめると冷たく言い放った。


勝くん…。

明らかに戸惑ったような顔をレンはする。

「お前なんで、こいつに退院する事をもっと早く教えてやらなかったんだよ!」

勝くんは、キツイ顔でレンを見つめる。

レンの表情が固まった。

大きな目で私を見つめる。それは、飼主に捨てられた子犬のような寂しそうな目で。



…。



どうして…。どうしてレンがそんな目をするの?…。








「あ、うん…。レン、退院おめでとう。良かったね!早く言ってくれてよかったのに、まー、千奈ちゃんの時に私号泣したし、言いづらいよね…。ごめんなさい!」

私は、気まずい空気を壊したくて早口で明るく言う。


レンはこっちを真っ直ぐに見ると、いつもより真面目な顔をする。

「みく…。ごめん。言い出せなくって…。俺…。」

「全然いいよ!!そんな暗い顔しないの!あと少ししかないんだったら、三人で思いっきり遊ぼ!」

私が笑うのを、どこか心配そうな目で見てる勝くんに気がつく、でも私は、気づかないふりをしてテンションを上げて話す。



全然良くない…。やだやだ行かないで!

心の中で叫ぶ。

でも、私は、笑うよ。レンは、私の笑った顔が好きだと言ってくれたから、残りの時間を笑いたいと思ったから。



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