約束のキミを。
いい子
私は、両親に嫌われている。
ううん。嫌われるほどの興味すら持たれていないのかも。
母親は、3週間に1回お金と着替えを持ってきて、何も言わずに、すぐに帰ってしまう。
父親は、仕事で忙しいからと、年に1度会えるかわからないくらいだ。
私には、小さな双子の弟がいる。
二人は両親の愛情と期待をたくさん受け育っている。
しかたないのは、わかっている。
小さくてかわいい弟と比べたら、お金も手もかかる、病弱な子なんて望まれていなかった。
両親が悪いわけじゃない、私が悪いんだ。
学校に行ってないし、病院で仲良くなった子もすぐに退院してしまう。
「会いにくるね」って言ってくれても、来た子なんて今まで1人もいなかった。
きっと、その子達は私じゃなくても、学校にたくさんの友達がいて一時的な繋がりの私の事は忘れてしまう。しかたないのはわかっていてもやっぱり、寂しい。
ひとりぼっち…。
だから私は、もうこれ以上1人になりたくない。
嫌われるのが怖い。誰にも迷惑かけられない。
いらない子の私が、必要な子になることなんてないけど…。
いらない子の私はどこに行ったっていらない子になっちゃう。
捨てられたくない…。
病院の人にも親にも嫌われないようにこれ以上誰からも、いらない子扱いされないように、迷惑かけないように、面白くもないのに、お人形と同じように、毎日毎日にこにこしてるだけ、大人はそういう子が好きだから…。
大人の顔色ばかり伺って、本当につまらない毎日。
何を見ていても、霞んでいて灰色の世界に見えた。
でも、
なんでも、にこにこ言う事聞いて、いい子でいて、ものわかりのいい子でいないと、誰からも愛してもらえない…。
いい子でいたら、誰にも嫌われない…。
だから、私は、ずっと灰色の世界で生きていく。
ひとりぼっち…。
私には和斗しかいないんだ…。
和斗にだけはなんでも、話せるから。
いい子じゃない私も、愛してくれるから…。
私の唯一のミカタだ。