約束のキミを。
繋いだ小指と小指。
『約束』
私とレンは声をそろえて言った。
大切な約束がまた一つ増えた。
レンはそっと、手を解いて、車に乗った。
「またな!」
窓を開けて言った。それは、また明日にでも会おう!そんな風な軽い言い方。
「またね。」
私は、ちゃんと笑って返した。
車は発車し、どんどん小さくなっていく。
完全に見えなくなっても、私は道路をしばらく見つめた。
トンッ
そっと方に手が置かれる。振り返ると勝くんだった。勝くんは、何も言わなかった。私は、何も言えなかった。
黙って、勝くんの胸に顔をうずめて泣いた。泣き虫な私を勝くんは許してくれた。
勝くんの、服を涙と鼻水でビショビショにして泣いた。でも、なにもいわないでくれた。
ただ、私が泣き止むまで側にいてくれた。
その日の夕焼けは、燃えるように赤く、レンが去っていった道を照らしていた。