約束のキミを。
涙の人魚姫
その日の夜。私は夢を見た。
小さい頃見た悲しくて綺麗で切ないお話の夢。
人魚姫の夢だ…。
王子様のことを好きになって、声を失ってでもそばに居たかったのに、自分ではない他の人と幸せになる王子様。
どんなに悲しかっただろう…。
そして、なにも報われないまま泡になり消えてしまった美しい人魚姫…。
私もそうなのかな…。
生きる世界の違う人を好きになった私の気持ちは泡となって消えてしまうしかないのかな…。
王子様と出会わなければ人魚姫は消えなかったのに…。
私は、夢の中で泡となりブクブクと水の中で消えていく。
どこまでも続く闇の中に溶け込んでいくように…。
どこまで叫んでも届きはしないんだ…。
誰も助けてはくれないんだ…。
苦しい…。
助けて…!
バッ!!
寝苦しさで目を覚ます。
なぜが勝くんが、ベッドの横で私を見ていた。
「大丈夫か?」
「ちょっといやな夢を見ただけ…。」
「いや…。お前もう2日間寝続けてたんだぞ…。」
「うそ…。」
「お前、熱高かったからな…。今だいぶ落ち着いたらしいけど、休んどけよ。」
私、あの後熱出たんだ…。知らなかった…。
確かに、今も体が重くて頭が痛い…。
「心配してくれてたの?ありがとう」
勝くんは、またピアスをイジリながら視線を逸らした。
「別に…。あとさ、お前、涙拭いとけよ…。」
え?
鏡を取り出して、自分の顔を写すと涙の跡が残っていた。
夢が怖くて悲しくて泣くなんて、子どもみたいだなと我ながら思う。
「勝くん…。」
「ん?」
「人魚姫って知ってる?」
「それがどうした?」
「ううん。なんでもない…。人魚姫ってさ、かわいそうだなって…。」
俯いてつぶやいた。
「そうかもな…。」
勝くんも、呟くように言った。
…。
ただ、二人の間を静かな時間が通り過ぎていった。
小さい頃見た悲しくて綺麗で切ないお話の夢。
人魚姫の夢だ…。
王子様のことを好きになって、声を失ってでもそばに居たかったのに、自分ではない他の人と幸せになる王子様。
どんなに悲しかっただろう…。
そして、なにも報われないまま泡になり消えてしまった美しい人魚姫…。
私もそうなのかな…。
生きる世界の違う人を好きになった私の気持ちは泡となって消えてしまうしかないのかな…。
王子様と出会わなければ人魚姫は消えなかったのに…。
私は、夢の中で泡となりブクブクと水の中で消えていく。
どこまでも続く闇の中に溶け込んでいくように…。
どこまで叫んでも届きはしないんだ…。
誰も助けてはくれないんだ…。
苦しい…。
助けて…!
バッ!!
寝苦しさで目を覚ます。
なぜが勝くんが、ベッドの横で私を見ていた。
「大丈夫か?」
「ちょっといやな夢を見ただけ…。」
「いや…。お前もう2日間寝続けてたんだぞ…。」
「うそ…。」
「お前、熱高かったからな…。今だいぶ落ち着いたらしいけど、休んどけよ。」
私、あの後熱出たんだ…。知らなかった…。
確かに、今も体が重くて頭が痛い…。
「心配してくれてたの?ありがとう」
勝くんは、またピアスをイジリながら視線を逸らした。
「別に…。あとさ、お前、涙拭いとけよ…。」
え?
鏡を取り出して、自分の顔を写すと涙の跡が残っていた。
夢が怖くて悲しくて泣くなんて、子どもみたいだなと我ながら思う。
「勝くん…。」
「ん?」
「人魚姫って知ってる?」
「それがどうした?」
「ううん。なんでもない…。人魚姫ってさ、かわいそうだなって…。」
俯いてつぶやいた。
「そうかもな…。」
勝くんも、呟くように言った。
…。
ただ、二人の間を静かな時間が通り過ぎていった。