約束のキミを。
次の日、目が覚めると、ベッドの横に違和感があった。顔だけ動かして見るとチョコレートプリンが置かれていた。プリンというよりかはムースだ。
布団から片手だけだして、触れると冷たかった。
私は、もそもそと起き上がる。
誰がおいたんだろう…。
お母さん?いや、お母さんなら私が寝てたら日を改めるだろう。
和斗?うーん。和斗なら私が起きるまで待っている気がする。
舞さん?舞さんならムースと一緒に綺麗な字で置き手紙とかしそうな気がする…。
となると…。
斜め前のベッドで、本を読みふけっている勝くんを見る。きっと勝くんだ。
私は、引き出しから袋に入ったプラスチックのスプーンを取り出した。
食欲はなかったけど、勝くんの気持ちが嬉しかったから…。
蓋をはがして、ひとくち口に入れる。
喉が痛かったから、スルッと入ってくる冷たいムースは気持ちよくって、ほどよい甘さに口元が緩む。
1分もしないで全部食べてしまった。
「勝くん!」
まさるくんが顔を上げてこっちを見る。
「ありがとう」
ニッコリ笑うと、勝くんは
「別に間違って買っただけだから。」
間違って買うって…。勝くんは甘いもの嫌いじゃん!
素直になればいいのに…。
何も食べてない私を心配してくれてるのに、その不器用さがいじらしい…。
「でも、嬉しかったから。ありがとう。」
「そうか。」
また、ピアスに触れながら照れたように言う彼の優しさに胸が一杯になった。