約束のキミを。
やっぱり、私たちが来るのって屋上くらいしかなくって、少し肌寒い空気が、身に染みた。
「これ着てろ。」
勝くんが着ていたジャージを私に差し出す。
「え?でも…。勝くんが寒いでしょ?」
「また、おまえに熱出されたら困るだろ?」
「ありがとう…。」
そう言われたら、うなずくしかなくってありがたく受けとる。
勝くんのジャージは、大きすぎてぶかぶかで指先まで隠れてしまいそう。
でも、心まで暖めてくれそうだった。
「ここでね、レンと将来の話しとかしたんだよ!勝くんは夢とかある?」
勝くんは、しばらく考えるように宙を見つめたあと
「俺の夢か…。お前の泣き虫が治ることだな」
そう言って軽く笑う。
「それ!勝くんの夢じゃないでしょ!もう!からかっわないでよー!」
私は、ぷくっーとほほを膨らませた。
「でも、まー確かにたくさん勝くんには迷惑かけちゃったもんね。」
「そうだな」
と勝くんは微笑む。
「でも、ここで過ごせてお前とかレンとかと過ごせて楽しかった。ありがとう。」
勝くんがこんなこと言うなんて意外で驚いてしまう。
「こちらこそ、ありがとう」
ありがとうの一言では表せないくらいの感謝の気持ちを込めて言った。