FEEL《上》
昔見たデータを記憶から探り出す。


鴉。
それは、規則などなく、「自分は鴉だ」と言えばもう鴉のメンバーも同然。


噂では、幹部も総長も下の数は把握していないとか…。

素行は悪く、クスリもよく出回っているし、前科がある者も多い。



でも…そんなのがどうして……。




「鴉の本当のメンバーは存在します。其奴らの体には、あるマークがあるんです。」



『………マーク?』




………聞いたことがない。





「あぁ…これを知ってる奴は少ないです。此奴、元鴉なんで…。」




金髪の男は黒髪の男を指差した。

黒髪の男は顔を歪める。




「此奴、彼処の元幹部なんですよ。幹部が関わった抗争で負けたチームは雑食の名の下に鴉に取り込まれます。」



『それで?なんで私達が狙われるの?』



「結論を言うと、強い奴は狙われやすいんです。いくら強くても数が多ければそのうち負けます。」




成る程。
注目されているこの時期に族になれば噂が流れるものだ。私達が流した噂も広まっているだろうし。

そして運良く取り込められたら、そのチームの人間を使って他を取り込む。


その繰り返しというわけか。




『なにか案はないの?』


「裏をかいて本陣をぶっ叩く。」




紫雲が真面目な顔で言った。



< 65 / 80 >

この作品をシェア

pagetop