イノセント
長く続く廊下を重い足取りでゆっくりと歩く。

…なんで俺がこんなめに。

早く寝たい。

帰ったら残っている書類を早々に片付けてお風呂に入ったらすぐに寝ようと考えていた俺の計画はすでに丸潰れだ。

…最悪。

予想外の事柄や問題なんて人をイライラさせるだけだ。

そう考えながらカチャリ、とドアノブをさげてリビングに入ると。

リビングの中心にありドアからは反対側に向けられたソファに座る兄と、その隣に座る黒髪の女。




その、黒髪の女が

ゆっくりと

その艶やかな髪を風に遊ばせながら振り返り

俺を見た。





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