イノセント
心臓が、ドクンとなった気がした。

…嫌な気がした。

何かが壊れる気がした。

この女に壊される気がした。

この、

華奢で何もできなそうなその腕や、手に

全てを奪われると思った。





そんな考えを知る由もない兄もその、谷村花音とやらに連れられたように立ってから俺を見て少し照れたように笑いながら、
「和也、そこのソファに座ってくれるか?」
と言った。



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