イノセント
「…は?」

何いってるんだこいつ。

お人好しにもほどがあるだろう。

俺が目を見開いたのを確認してなのか、兄は少し慌てたように
「彼女は大学がここから近いんだ。
今彼女が住んでる家は少し遠いし「ちょっと待ってよ。」

そうじゃない。

そうじゃないだろう。

「父さんがきっと反対する。」

俺がそう言うと兄は少し申し訳なさそうに目を伏せてから、
「…和也に言う前にすでに父さんには話を通してあるんだよ。
ここに彼女が住むことは決定してるんだ。」

…おい。

何をやってるんだあいつは。

ろくに家にも帰ってこないくせに。

むしろあれか?

だからなのか?

だから別に関係ないと?

「…ふざけないでよ。」
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