地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜




山岡主任は営業に行くために、私にキスをして頭を撫でるとそのまま会社を出て行った。


私はコピー用紙を抱えて二階にあるオフィスに向かう。


「玲美さん、僕が持ちますよ」


「ありがとう」


背後から現れたのは、今は私がアシスタントをしている笹山陽平(ささやまようへい)くん。
半年前に入社してきた彼のアシスタントをするように常務に言われた。


山岡主任のアシスタントは笹山くんと同期で入った女の子。


色白で、二重で目がパッチリの可愛らしい女の子だ。


そんな二人にも嫉妬してしまうこともあるけどね……。 


笹山くんは入社した時から大人しくて控えめで、眼鏡をかけて前髪も少し長めだ。


仕事の話はするけど基本は大人しい。
仕事は一生懸命してるし、私も彼をサポートするにあたり、新人にしては頑張ってると思う。


「玲美さん、少し話したいことがあるので会議室に来てもらえますか?」


「え、話?わかった」


何かな?と思いながら笹山くんの後を付いていく。


会議室の中に入ると笹山くんは鍵を閉めた。


な、何で鍵なんか閉めてるの?


「は、話って……何?」


「玲美さんさ、山岡主任と不倫して幸せなの?」


「えっ……どうして」


「さっき見たんだよね、二人がキスしてるの」


どうしよう、この関係は誰にもバレちゃいけないのに。


「別に人に言ったりしませんよ、ただ……」


「ただ……?」


「俺が残業を頼んだら残ってもらっていいですか?時間は何時になるかわかんないですけど」


この関係がバレるくらいなら残業だってなんだってする。


「わかった……」


私はそう返事をした。




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