地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
「玲美が俺に聞きたいことは今日わかった。土曜日に俺の元カノってのがマンションに来たんだろ?」
私はコクリと頷いた。
「アイツは高校の同級生で元カノでもなんでもない。確かに何回も付き合ってとは言われたけど断ってたしな。俺さ、確かに学生の頃は女とも遊んだりしてたけど、中学の時にトラブルあって、高校に入学した時に同じ高校の奴とは付き合わないって決めてたんだ。数えきれないくらい告白されたけど付き合ったりはしてないし、遊びでもそんな関係はもたなかった」
何だか凄い自慢にしか聞こえないんだけど……
「まぁそれはいいにしてさ、土曜日に来た奴はジュエリーショップの店員でさ、俺は気づかなかったけど相手が気づいたみたいで話しかけられてさ、そして商品を注文した時に住所と電話番号を書いてたんだけどそれを見て土曜日に来たらしい。今日にジュエリーショップに行った時に同級生に言われたんだ『別れてなかったの?』って。だから俺は何かあると思って問い詰めたら土曜日に俺の住所を見てマンションに行って、玲美に嘘をついたことを。同級生は俺と付き合って欲しくて来たみたいだけど、彼女が居たから悔しくてそう言ったみたいで、玲美にも謝って欲しいと言ってた。だから俺は浮気もしてないし、好きなのは玲美だけだから」
嘘だとわかって安心したのか涙が溢れてきた。
「玲美は肝心な事を言わずに鍵を返されて、俺が何をしたのか考えてたけどわからなくてさ、だけどやっと理由がわかった。ごめんな、嫌な思いをさせて」
「私こそごめん……ちゃんと言えなくて。もし本当だったら怖くて。でも何でジュエリーショップに行ったの?」
「ん?それはこれをあげるため」
そう言われて陽はポケットから箱を取り出すと開けた。
「えっ……これって」
「そう、ペアリング。クリスマスプレゼントで驚かせたくて注文したんだ。そしたら同級生のせいで帰ると玲美は居なくて連絡取れなくて散々だったけどな。だけどちゃんと渡せられるし付けてくれるか?」
「うんっ……疑って信じてあげられなくてごめんね」
「もういいから手を貸して」
そう言って右手の薬指に指輪をはめた。
「左手にはめる時は結婚指輪にしたいから、左手の薬指は俺が予約するから」
「うん」
私も陽の右手に指輪をはめて二人で笑いあった。