地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
地味男の裏の顔
私は気持ちを落ち着かせて会議室を出た。
オフィスに戻るといつもと変わらない口調で私を見るなり言った。
「玲美さん、今日は残業頼んでもいいですか?棚割りを作るので商品登録と画像の撮り込みお願いします。新商品も沢山あるので画像はまだ誰も撮ってなかったですよね?あと発注書机に置いてるので入力お願いしますね?じゃあ行ってきます」
「わかった、いってらっしゃい」
そう言って自分の机にすわる。
そして発注書を手に取ると、いつもより多いのは気のせい?
それに新規オープン以外の得意先の特売、多くない?
売上をあげる為に頑張っているのは認めるけど、普段は地味男な彼がさっき豹変したのには今でも信じられない。
私はひたすらパソコンと向き合って入力をする事にした。
そしてお昼になり休憩中、会社に山岡主任から電話が掛かり、それを私が取った。
「お疲れ様です高瀬です」
『玲美か?お疲れ様。山梨(やまなし)さんに代わってくれる?』
「わかりました……」
私は保留を押して山梨さんに言った。
「山梨さん、山岡主任から七番に電話だよ」
「はぁーい」
そう言って山梨さんは電話に出た。
「お疲れ様です山梨です。えぇー理沙(りさ)今は休憩中でお昼ご飯食べてるんですよ?じゃあ帰りにプリン買って来てくれたらしてあげます。えっ、本当ですかぁ〜じゃあ今から発注しときますね。お疲れ様です」
何が理沙だ!ぶりっ子な声だしちゃってさ。
何だか楽しそうに話てる山梨さんに嫉妬してしまう。
入社した時からそんな感じで、今はだいぶ慣れたけど、やっぱり嫉妬してしまう。
山岡主任は山梨さんには興味ないし苦手だって言ってたから安心はしてるんだけど。
「私仕事を頼まれたので、自分の机で弁当食べますね」
そう言って山梨さんはオフィスへと戻って行った。
別に仕事の要件なら私が聞いて、山梨さんに伝えても良かったのにな……。
私は弁当を食べ終わると自販機にコーヒーを買いに行った。
お金を入れてコーヒーを買うと、外でそれを飲んだ。
オフィスに戻ればまだまだ仕事が残ってるしね。
コーヒーを飲み終わると私は気合を入れてオフィスに戻って仕事をした。