地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
私は踵を上げて、笹山くんの首に手を回しキスをした。
経験豊富を装って少し大胆にせめてみた私は、いきなり唇を割って舌を差し込み、彼の舌に自分の舌を絡める。
彼は舌を動かす事なく私だけが動かしていて、山岡主任は答えてくれるのに、彼はただ私のキスを受入れてるだけだった。
すると彼から唇を離すと私を見て言った。
「こんなキスじゃ全然欲情しないよ玲美さん?キスってのはこうするんだって教えてやるよ」
すると今度は私に笹山くんがキスをしていた。
私の唇を優しく口に含むように、離れては直ぐに口づけをし、何度もそれを繰り返されるうちに私はそのキスの先が欲しくなった。
だけど中々彼の舌が中に入らず、自ら求めるように少し口を開いた。
その瞬間を待っていたように、開いた口の中に滑り込んできた舌は、直ぐには私の舌に絡んではくれず、焦らすように私の口内を犯していく。
こんなキスは初めてで、何だか気持よくなってきた私は彼の舌を求めて絡ませた。
山岡主任とのキスとは違って、もっと、もっと、長くしていたいキスだったーーー
「年下の俺のキスを玲美さんは自ら欲しがってたね?どうだったキスの感想は?」
「バ、バカじゃないの?キスの感想なんて特にないわよ……」
たかがキスだと思ったが、彼のキスに欲情したのは本当だ。
年下なのに私より態度でかいし、キスも上手で何かムカツク。
「でも気持ちいいって顔してたけど?今日は玲美さんもう帰っていいよ」
「は?だってまだ画像が残ってるけど」
「明日でいいよ、俺が満足しちゃったし。今日は疲れたでしょ?その代わりまた明日も残業よろしくね?俺が帰っていいと言うまで帰っちゃダメだから」
「何よそれ……」
「後は俺が片付けるからそのまま帰って下さい。お疲れ様です」
「お疲れ様……」
私は鞄を持つとそのままオフィスを出て車に乗った。