地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
私は車に乗ってエンジンを掛けた。
今日は何だかとても疲れた。
笹山くんには不倫はバレるし、キスまでされて、"好きになるのは俺だけにしてよ"なんて言われて訳がわからない。
それに地味男だった彼が実は凄いイケメンだったって事にも驚いた。
あの容姿だと誰か見ても見惚れるくらいなのに何故、地味男にわざわざ変装してるんだろ?
言葉遣いが変わり豹変したかと思えば、眼鏡を取った彼の本当の姿は別人かと思うほどイケメンで、私はまだ頭の中が整理できていない。
アクセルを踏んで私は家まで車を走らせた。
家に着くと中へと入る。
誰も居ない広い家はとても静かだ。
私は実家で暮らしているが、今は一人暮らしみたいなものだ。
二年前にお父さんが海外に転勤になり、お母さんも一緒に行った。
広い家に一人は寂しいけど、それも慣れた。
私は先にお風呂に入り、上がるとビールを飲んだ。
お風呂の中で考えたけど、やっぱり笹山くんは私をからかっているとしか思えない。
会社では地味男だが、本来の姿は女に困る事がない容姿だし(少し性格に問題はあるが)、私なんかを好きなんて有り得ない。
明日は私が色々と質問してやるんだから。
今日は押しに負けてしまったけど、あんな年下で生意気な奴なんかに負けないんだからね。
山岡主任のが数倍優しくて、あんな奴なんか好きにもならないし騙されない。
あっ!!アイツのせいでプリン食べそこねたじゃん……。
私はビールを飲むと何も食べずにそのまま寝てしまった。