地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜



ロールケーキを食べ終わると、会議室から商品を持ってオフィスに戻り、残業開始した。


昨日はまだあんまり画像を取り込んでなかったから、まだまだ撮らなきゃいけないと思うと嫌になる。


一人、また一人と帰っていき、リストの半分の画像をどうにか撮り込みを終えた頃には私と笹山くんの二人だけだった。


今日はもう画像を撮るのはやめて明日にしようかな?
得意先への提出は金曜日って言ってたし、間に合うよね。


私は商品を持って会議室に行き、棚に置くとオフィスに戻った。


すると笹山くんはオフィスには居なくて、私はフタリ分のコーヒーを淹れる為に給湯室に行った。


ポケットからスマホを取り出すと、山岡主任からラインが来ていた。


【お疲れ様。画像を撮るのに集中してたから話しかけなかったけど、あんまり無理するなよ?】


そのメッセージだけでも嬉しくなる。
生意気な年下なんかより山岡主任はずーっと優しい。


私は帰って返事を送る事にして、二人分のマグカップにコーヒーを淹れて自分の机に戻り、隣の席の笹山くんの机にもコーヒーを置いた。


するとオフィスの扉が開いて笹山くんが戻って来た。


見ると眼鏡を外していて、昨日見たイケメンの姿で登場した彼の姿は、またしても私の心臓を煩くさせる。


何で性格の悪いアイツなんかにドキドキしてんのよ。


落ち着け、私の心臓よ!


「俺のコーヒーも淹れてくれたんだ?ありがとう玲美」


「れ、れ、玲美って今しれーっと言ったでしょ?勝手に呼び捨てしないでよ!」


「いいじゃん別に。二人きりなんだしキスした仲だろ?」


クスクス笑いながら言う彼を殴ってやろうか?と思った。


そして私は気になる事を聞いてみた。


「笹山くんさ、眼鏡を取って前髪あげると凄くイケメンなのに何で地味な格好してるの?性格だって全然違うしまるで天使と悪魔みたいだしね」


「天使と悪魔って……自分でも顔がいいのはわかってるから敢えて地味男のフリしてるんだよ。周りからはキャーキャー騒がれて、社会人になっても騒がれるのは嫌だったからわざと地味男になってんの」


贅沢な悩みだ事……。


私は地味男の笹山くんのがいいけどね。
大人しくて、仕事も真面目だし。




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