地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
ーーーピピピッ
スマホのアラームで目が覚めた私は、いつものように会社に行く準備をした。
昨夜は色々と考えたけど、結論が出るわけでもなく、考えるのをやめて寝た。
それに今日は商談だし、メーカーさんも沢山くるから悩む時間なんてないんだ。
私は気合を入れて会社に向った。
会社に着いて朝礼を済ませると、九時から商談だから急ぎの仕事を若槻先輩に頼み、ノートパソコンを会議室に持って行き、お茶とコーヒーの準備もした。
私が一人でバタバタしていると、笹山くんが会議室にやってきた。
「後十分で商談始まるから椅子に座りなよ」
「え、もうそんな時間?朝から商談なのに社長の話が長すぎて、準備も中途半端だよ」
「その割には後はポットが沸くだけだろ?もう何人かメーカー来てたし、九時になったら順番で来るよ?」
私は笹山くんの隣に座った。
そして九時になると一番目に来たメーカーさんが、会議室のドアをノックさした。
「どうぞ」
笹山くんがそう言うと、メーカーさんが入って来た。
中に入ってきたのは大手五大メーカーのうちの一つのメーカーで、全国何処でも売られている、ポテチを作っている会社だ。
だがこのメーカーは値引きがきかない。
私も何回か顔を合わせてるし、笹山くんも会ってるから名刺交換はなかった。
メーカーさんは新商品を持って来て、話を進めだした。
中身を食べて欲しいと言われ、メーカーさんは袋を開けて私達に差し出した。
「うわぁ、この少しピリ辛なのは摘みにあいそうですね?こっちのコンソメ味は子供も好きかも」
私は食べた感想をメーカーさんに言った。