地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
「でしょ?うちも商品化が決定してるんですけど、定番では作らないので特売のみの販売になります」
「値引きはできますか?」
お菓子の感想を言わなかった笹山くんは値引きの事を聞いた。
「値引きは厳しいです……」
「じゃあ定番商品を各、五十ケース頼むので値引きをしてくれるなら、各営業にも得意先に売り込むように伝えますよ?定番商品は売れるし、新商品も美味しかったから特売でそれなりのケースは注文できそうですけどね」
するとメーカーは考えて、上の人と電話で話しだした。
どうにか値引きに成功して、私はパソコンに入力していく。
一人目のメーカーさんとの商談が終り、私は初めて商談したわりに、値引きの難しいメーカーさんから値引きを成功させた笹山くんを凄いなと思った。
「あのメーカーさんからよく値引きできたね?」
「新商品以外に定番商品を五十ケースが大きかったんじゃないか?値引きもらうにはそれくらいしないとくれないだろうし、定番商品なら何処の得意先にも入ってるし、特売でも売れるからね」
先の事まで考えてメーカーから値引き交渉まで成功させてしまう彼は、入社してまだ一年も経っていないのに、部長や山岡主任くらい出来る人なのかもしれない。