地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
「俺も高瀬さんの事……嫌いじゃないよ。結婚して子供が居るけど、高瀬さんが入社して一生懸命頑張ってる姿を隣で見ていたし、笑顔が可愛いくて気になってた。自分ではストップかけてたつもりなのに、そんな事を言われたら止まらなくなるだろ……」
そう言った私に山岡主任はキスをした。
初めてのキスはほんのりタバコの香りがして、キスの仕方もわからない私はドキドキと、奥さんと娘さんに対しての罪悪感を感じながらも、好きな気持ちを抑える事が出来なかった。
私達は二人でタクシーに乗り、着いた先はラブホテルだった。
勿論、経験のない私は初めてで、だけど初めてなんてそんな事は言えなくて、私は手を引かれるままに中へと入って行った。
山岡主任は慣れたように部屋を選んでいたけど当然だよね。
私が処女だから知らないだけで未経験なだけだもんね。
初めて入るそこに私は緊張を隠しきれず、もう後戻りは出来ないんだと思った。
『処女だから怖いからやめましょう』なんて言えないよね。
不安と緊張で、私の心臓の鼓動はピークになる。
そんな私に山岡主任は言った。
「先にシャワー浴びといで」
「はい」
私はそう返事をするのが精一杯だった。
まさかこんな展開になるなんて思わなくて、シャワーを浴びながら私は色々と頭の中で考える。
いつかは越えなくてはいけない事だし、山岡主任を好きな気持ちは嘘ではない。
だとしたら初めては山岡主任でもいいんじゃないかと……。
そう思って納得する事で、少しだけ胸の鼓動は落ち着いた。
シャワーを浴び終えて部屋に行くと、私と入れ替わりに山岡主任がシャワーを浴びた。
私はどうしていいのかわからずにベッドの上に座っていたが、山岡主任が浴室から出てくるのがわかると、またドキドキしだした心臓を紛らわす為にテレビのリモコンを咄嗟に押した。
するとーーー
『あぁっ、はぁっん』
えぇっ!!な、何これ!?
初めて見る映像に、私は驚きとショックを隠し切れずに口元を手で隠した。