地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
暫く車を走らせて向った先はゲームセンターだった。
「少しは何かに夢中になればアイツの事なんて考えなくていいだろ?」
そう言って私の手を繋ぎ中へと入っていく。
それに私もいつまでも考えたって、山岡主任との恋に辿り着く結果は初めから分かっている。
私には山岡主任しか見えてなくて、彼じゃなきゃダメだってそう思ってこの三年間を過した。
笹山くんにキスをされて、デートして、心が揺れた。
いつかは終わらせなければ幸せになんてなれない。
今は考える事よりも楽しむべきだよね?
私はゲームを楽しむ事にした。
メダルゲームに夢中になったり、車のゲームにUFOキャッチャー。
どれも楽しくて、気がつけば随分と時間が経っていた。
「やっぱゲームセンター来て正解だった。玲美、スゲー楽しそうに笑ってたし笑顔が見れて満足」
「……ありがと。久しぶりにゲームセンターとか来たけど楽しかった」
「俺も楽しかったよ。じゃあ次は飯でも食べますか」
そう言って私達はゲームセンターを出て、笹山くんの車に乗った。
「あっ、思いだした!」
「どうしたんだよ急に?」
「ご飯食べた後に会社に連れて行ってくれる?弁当箱をわすれちゃって、明日も休みだし笹山くんは鍵を持ってるでしょ?今日は土曜日だし皆の帰りも早い筈だから」
「わかった」
今朝に言おうとしたけど、笹山くんの私服姿に悔しいけど見惚れてしまい、弁当箱の存在なんてわすれてしまっていた。
今は十八時だし、食事をして会社に行っても二十時過ぎくらいには着くかな?
流石に皆は帰ってるだろうし、二人で行っても問題ないはずだ。
そして私達はお鍋を食べることにした。
十一月の夜は少し肌寒いし、お鍋を食べたら体が温まった。
食事を済ませて会社に向かい、駐車場に車を停めるとまだ誰か居て、車を見ると山岡主任と山梨さんのだった。
時刻は二十時半。
土曜日のこんな時間に二人で残業?
あっ、でも確か棚割りを今日中に仕上げなきゃいけないと言ってたから居るのかな?
月曜日から出張だって山岡主任は言ってたし。
私は車から降りる前に笹山くんに言った。