地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
でも考えてみたら日曜日は私の家に来て、奥さんを迎えに行くんじゃなくて山梨さんと会ってたんだ。
山岡主任が普段はスマホを一緒に居るときは触らないのに、日曜日はずっと触ってたもんね。
それも知らずに私は彼に抱かれたと思うと苦しくなる。
私は二本目の缶ビールを一気に飲み干した。
「明日だけど、俺の事は下の名前で呼べよ?笹山くんなんて言ったらバレるし陽平か陽って呼んでくれたらいいから」
「そんな……急に言われても」
「いいから今言ってみてよ」
彼の容姿でそんな色っぽい声で言われたら、お酒も飲んでるし何だか酔いしれそうだ。
「よ、陽……」
「出来るじゃん。てか二人きりの時は陽ってこれから呼ぶ事。笹山くんって言うのは会社だけな?もし笹山くんって今から言ったらキスするから」
もう彼に勝てる気がしない。
「生意気」
「何とでも言え」
本当に生意気なんだから。
私達は明日に備えて交代でお風呂に入り、笹山くんの着替えは取り敢えずお父さんのを貸した。
笹山くんが着ていた服は洗濯をして乾燥機をかけた。
笹山くんはリビングのソファーで毛布を掛けて眠り、私は自分のベッドで眠った。