地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜



ショッピングモールに早めに着いて、映画館のある入り口から中へ入った。


早く目が覚めたから映画が上映される時間にはまにあったが、山岡主任と山梨さんらしき人は居ない。


日曜日だから映画を見に来ている人も多いが、やっぱり二人が一緒に来てしまったらと考えると来ないでほしいとも思う。


色々な感情が私の中で溢れそうになる。


「まぁコーヒーでも飲もうぜ」


そう言って私達はコーヒーを買いに行って、映画館近くのベンチに座った。


私はコーヒーを飲みながらスマホを見てはソワソワして落ち着かなかった。


ベンチに座る事一時間。


遂に見たくはなかった二人が現れた。


まさか本当に現れるなんて……。


私は直ぐに山岡主任の姿を見つける事が出来た。
だけどその姿は、山梨さんが山岡主任の腕に自分の腕を絡めていて、私は『帰らないで』とは言えたが、一緒に出掛けたいとは言えなかった。
私がデートする事を諦めた三年間を、山梨さんとはデートに出掛けるなんて……。


思わず二人から目を逸らした。


「玲美……行くぞ」


「で、でも……」


「ここで行かなきゃ意味がないだろ?悔しくないのかアイツと山梨は玲美が我慢していたデートをしてるんだぞ?」


「……悔しい」


「大丈夫……俺がいるから」


手をギュッと握ってに私を立たせると、陽は私を二人の方へと歩かせる。


自分を落ち着かせ、二人に私達の距離が近づいた時に私は声をかけた。




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