地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
「でもさ、お前だって俺と同じ事してるだろ?今日一緒に居た男と手を繋いでたし、アイツに抱かれたんだろ?だったらそれでお互い様じゃね?俺だけが悪いわけじゃないだろ?それに……俺がお前を女にしたんだ、不倫だとわかっててもこの三年間、この関係を続けていたし俺から離れられるのかよ?」
そう開き直ったように私に近づいてきて、私はソファーに押し倒された。
「なぁ玲美……山梨さんも俺もお互いが遊びだったし、もう上司と部下だけの関係に戻った。俺が本当に愛してるのは玲美だけだ。俺と別れるとか言わないよな?」
そう言ってキスをしてきた。
だけど気持ち悪くなり私は山岡主任の体を突き飛ばした。
「何が愛してるよ、愛してるなら奥さんと別れなさいよ!それも出来ないくせに愛してるとか嘘を言わないで。私はもう山岡主任の事は好きじゃないから別れて下さい。じゃなきゃ奥さんに何もかも言います」
すると山岡主任は一気に顔が青ざめた。
「わ、わかったから言わないでくれ、頼む!」
「じゃあ今すぐ帰って下さい」
そう言うと山岡主任は急いで帰って行った。
私が本気な顔をして言ったのが効いたみたいだ。
やっぱり私は愛されてなくてただの遊びの都合のいい女だった。
奥さんとは別れるつもりもなくて、私の気持ちを上手く掌で転がしていたんだ。
私はそうとも気づかずに三年間、彼を信じて愛していた。
本当に馬鹿な女。
親友の凪にあれだけ止めときなよと言われたのに、山岡主任の優しさに依存して離れられなかった私も悪いんだけど。
これで本当に山岡主任との関係が終わってしまった。