地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
私はソファーに座った。
すると少ししてリビングに陽がやってきた。
「俺の出る幕なく玲美の口からちゃんとアイツに別れを言えて偉かったな。これでやっと玲美も前に進めるし、未来のある恋愛ができるな」
「うん……」
三年間の不倫の関係が終わった。
いつかはこんな日がくると思っていた。
だけどそれは私に好きな人が出来た時か、山岡主任に終わりにしようと言われるかだと思っていた。
だからこんな別れ方になるなんて思いもしなかった。
二人きりの時間は少なかったけど、仕事の日は毎日顔を見れたし、キスも沢山した。
初めて本気で人を好きになって、彼を愛していた。
苦しい事も沢山あったし涙を沢山流したけど、一緒に居る時は幸せだと感じていた。
「玲美……思いっきり泣いて俺にぶつけろ。そしてアイツとの思い出も涙で全部流してしまえ。もう玲美は苦しまなくていいし、我慢する必要もない」
私は気づかないうちに涙を流していた。
「ずっと苦しかったっ、それでも好きで離れられなくて、例え二番目でもちゃんと愛してくれてるんだって信じてたっ」
「うん」
「初めて人を本気で好きになって、山岡主任は私の全てだったのっ……何度も別れを考えたしこの恋に未来もないってわかってた。だけど本当は私が彼から離れられなかった」
「うん」
「こんなにも好きだったのに、想っていたのは私だけだったなんて馬鹿だよね。三年間何だったんだろっ……」