地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
そんなある日の日曜日。
私は久しぶりに親友の凪(なぎ)とランチを食べに行っていた。
「玲美はさ、まだ上司と不倫関係を続けてるの?」
「……うん」
「そっか、確か三年になるんだっけ?」
「うん」
凪が言いたいことはわかってる。
彼と居ても幸せになれないし、私に未来のある恋愛をして欲しいことも。
「玲美の気持ちもわかるけど、私は玲美には幸せになって欲しい。まだ玲美は彼しか知らないから離れられないだけだと思うし、やっぱり私は反対だな」
「凪が言ってる事はわかってる、だけど離れられないの……彼が側に居てくれるなら、この関係に未来はなくてもいい」
「玲美……」
凪は泣きそうな顔で私を見た。
ごめんね凪……でも私は彼を愛してる。
もし逆の立場で凪が不倫していたらきっと、私も凪と同じ事を言うかもしれない。
私の中では彼氏だと思っていても、周りから見れば不倫で、世間からは白い目で見られるだろう。
だけど彼から離れられないのは事実だ。
二人でランチを済ませた私達は、会計をする為にレジに並んでいた。