地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
二人でテーブルに座りピザを食べる。
「俺、毎日仕事が終わったら玲美の家に来るからな?」
「な、何で?」
「何でって少しでも玲美と一緒に居たいし、一日でも早く俺を好きになって欲しいから。週末はどっかに出掛けるし玲美が嫌と言っても来るから。だから明日は玲美の手料理期待してるから」
「勝手に決めないでよね?」
「勝手に決めなきゃ玲美を違う誰かに取られるかもしれないだろ?だから玲美の仕事と睡眠以外の時間は俺が予約するから」
多分私がダメと言っても陽は来るだろう。
私も諦めて返事はしなかった。
こうして陽が毎日仕事が終わると家に来るようになり、週末は二人で出掛けたりした。
こんな毎日が続き、二週間が経った土曜日の夜、仕事が終わった陽は私の家に来た。
今日は私は休みで陽は仕事だったけど、土曜だからいつもより帰りは早い。
私はテーブルに料理を運んで二人で一緒に食べた。
「来週から、帰りが遅くなりそうだから来れないかもしれないけど、なるべく早めに仕事を終わらせるようにするからな?」
「別に私は待ってる訳じゃないから……」
「俺に会えなかったら本当は寂しいだろ?もう早く俺の事が好きだって言えよ」
そう言いながら陽は笑った。
「わ、私は嘘が嫌いだから好きじゃないのに好きだなんて言わない」
「いつか俺から離れられないようにしてやるからな」
やっぱり私にはわからない。
陽が私を好きって事が。
「じゃあ明日は朝の十時に迎えに来るからな」
ご飯を食べ終わり、そう言って陽は帰って行った。
嫌いではないんだけど、まだ次の恋に踏み出すのは怖い。
私の前ではありのままの自分を陽が出してくれてるし、私の目を見てちゃんと好きだと伝えてくれる事は嬉しい。
ただ私の陽に対する気持に好きって感情が生まれなきゃ付き合ったりは出来ないし、中途半端に付き合って、やっぱり好きになれなかったとかにはなりたくないし、陽にも失礼になるから。