地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
気がつけばお昼になり、私は休憩室に若槻先輩と向かった。
テーブルに座り弁当を鞄から取り出した。
「高瀬さん何か悩みでもある?それとも彼氏と喧嘩でもした?」
「えっ!?」
いきなりの若槻先輩の言葉にドキッとした。
「確か前に彼氏は居るっていってたけど最近は仕事は集中してるけど、お昼とか元気なかったから心配してたんだよね」
「あ、ありがとうございます。それから前に言った彼氏とはもう別れてるんで彼氏の事で悩みとかはないです。心配してくれてありがとうございます。ちょっと仕事が忙しかったりで疲れただけです」
「そう?ならいいけど、何かあったら話を聞くからいつでも言ってね?」
「はい」
若槻先輩の優しさに涙が出そうになったのをグッと堪えた。
確かに少し前に山岡主任の事があったりで顔に出てたのかな?
今日はまた別な理由なんだけど、若槻先輩にも心配をかけないようになるべく笑顔で話しをした。
そしてお昼休憩が終わる前にスマホを見ると、陽からラインが届いていた。
【そっか、玲美に会えないのは寂しいけど、週末はデートしような】
その内容を見て私は更に混乱した。
デート?
じゃあ昨日に私が見たのは幻覚?
陽がよくわからない。
あの女性は、子供は誰?
どうして日曜の事を話そうとしないの?
陽も山岡主任と一緒なの……?
私は陽に返事をした。
【暫くは会うのもデートも出来ない】
それだけ送って私はスマホを鞄の中に入れてオフィスに戻った。
今はとにかく自分を落ち着かせて仕事に集中した。
そして一日の仕事が終わり、陽に会うことなく会社を出た。
駐車場に着いて車に乗り、買い物をして家に帰り、何も考えないように夕食を作った。
作り終わって気づいたけど、最近は陽が来て一緒に食べていたせいかおかずを作りすぎていた。
作ったおかずを見て我慢していた涙が溢れる。
好きだと気づいたのに陽にはもしかすると彼女なのかもしくは嫁?なのかわからない人が居る。
もし自分と無関係だったら私に隠す事ないよね?
そう思ったらやっぱり私に好きだと言った事も嘘に思えてきた。
やっぱり私は男運がなくて騙されやすいのかな。