地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
あっ、陽に毛布を渡してなかった。
だけど恥ずかしくて今更リビングにも行けない。
何やってんだろ私……あのタイミングで告白なんかしちゃって、自分で気まずくしちゃてるじゃん。
それに歯磨きだってまだしてないし最悪だぁ。
暫くの間モゾモゾしていたら、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
私は緊張して動く事ができず、心臓だけがドキドキしていた。
「玲美、入るぞ」
そう言った陽は私の部屋の扉を開けて中に入ってきた。
そして私が寝ているベッドに座ると話しかけてきた。
「寝たのか?」
「……」
私は無言のまま動かなかった。
「そっか、寝たのか……」
そう言った陽は私の布団を剥ぎとった。
だけど私はそのまま寝たふりをする。
すると陽は私の足を撫でてきた。
くすぐったくて動きたいけど我慢してそのまま寝たふりを続行した。
だがーーー
陽の手が私の服の中に侵入してきて思わず体がビクリとして体をガバッと起こした。
「な、何してるのよ変態!」
「寝たふりをしてる玲美が悪いんだろ?それに俺に毛布も渡さなくて風邪を引かせるつもりかよ?」
「そ、それは忘れただけだし……」
「なぁ、俺をちゃんと見ろよ……」
常備灯だけの部屋の明かりの中、私は陽の顔を見た。
見つめられるだけでドキドキして、思わず顔を俯かせた。
すると陽に顎を掴まれて上を向かされる。
「玲美……さっき言ってた俺を好きだってのは本当?」
「……うん」
私がそう答えると陽は私を抱きしめた。
「やっと玲美が俺を好きになってくれた」
そう言って今度は私にキスをした。
そのキスは優しくて、今まで陽とキスをした中で一番甘く感じた。
唇が離れると陽は私に言った。
「もう離すつもりないから」
そう言って再び唇を奪われた。