ブラッド
団捜査は遠慮したかった。


 後々、御礼参りされるかもしれないからである。


 捜査本部に戻った時、県警や所轄のデカと顔を合わせるのだが、皆辛気臭い顔をしていた。


 仮に事件が解決したとしても、報復が怖い。


 警察官は事件の犯人逮捕後、検察への送致のみで済むと思われがちだが、全然違うのである。


 厄介なことが山ほどあった。


 以前、殺人事件の法廷で証人の一人として、証言した経験がある。


 後味が悪い。


 ずっと胸の中に澱のように残っていて、正直なところ嫌だった。


 その時、共に証人として裁判に参加した男性刑事が、第一審結審の一週間後、街の一角で犯人を庇うグループによって暴行事件を受けている。


 半死状態だった。



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