ブラッド
第62章
     62
 後は下古毛充を逮捕するだけだ。


 俺も伊里町も気を張っていた。


 日々、相方運転のタクシーでG県内を走り回る。


 篠原陽三と羽野和夫は死亡のため、不起訴となり、俺たち警察も拍子抜けしていた。


 あれだけ執拗に逃げ回っていた人間たちが、目の前で警察相手に自決したのだから……。


 しかも一際過激な、爆弾による爆死という形で。


 週が一つ明け、火曜になり、また俺たちは朝から外回りへと出かけた。


 疲れていたのだが、淡々と捜査をこなす。


 暴対が事件捜査の主導権を握っていた。


 一課は少し外され気味だ。


 だが、俺も伊里町もめげない。


 互いに履いている靴は底を滑らせていて、また新たなものを着用していた。

 
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