ブラッド
 車は走り続けている。


 変わらずにずっと。


 もちろん、下古毛の出現は、伊里町のジョークの類だろうと思っていた。


 おそらく磨り減っているのだ。


 身も心も。


 俺だってそうなのだが……。


 合間に缶コーヒーを買って、車中で飲みながら、気を落ち着けた。


 カフェインが入っても、ぐったり疲れている。


 スマホで車両の位置情報を確認していた。


 いずれ分かる。


 下古毛がどこに逃げたかも、だ。


 別に気にしてない。


 今、分からないことがあっても、それは極自然なことと割り切って……。





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