ブラッド
 辺りの空気の温度が徐々に上がっていく。


 熱帯のような夜だ。


 体は疲れている。


 今が午後10時過ぎだから、これから捜査だと、終わるのは未明になるだろう。


 伊里町が近くの自販機でアイスコーヒーを二缶買い、俺にくれたのと前後して、監察医が乗ったワゴンが現着した。


 白衣姿の人間たちが次々と車から出てくる。


 俺も伊里町も一言声を掛け、遺体を運んでもらった後、現場検証を始めた。


 どうやら害者は後頭部を鉄パイプのようなもので殴打され、死亡したらしい。


 即死だったようだ。


 血が大量に流れている。


 薄気味悪いし、物騒だ。


 街で殺人などの事件が起こると。
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