ブラッド
 手広くやっているのだ。


 裏では金がジャラジャラ動くのだろう。


 札束が山のように積まれて。


 下手に警察が手を出すと、集団で押しかけてくる。


 とんでもない連中だ。


 そのキーマンが篠原である。


 そして羽野も篠原と同じぐらい、組の構成員に対し、影響力を持っていた。


 まあ、あまり関わりたくない人間たちなのだが……。


 午前10時半過ぎから、外回りを開始する。
 

 伊里町が移動に“タクシー”と呼ばれる覆面パトカーを出してくれた。


 運転席に座り、ハンドルを切る。


「佐山」


「何ですか?」


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