ブラッド
情があるのも事実だ。


 まあ、ネットなど何でもありで、別に警察関係者もそういったものを隅から隅までチェックしてるわけじゃない。


 だが、金子雅夫が篠原によって殺害され、工藤が組内のトラブルの挙句、羽野によって始末されたのは分かっていた。


 街の通りを車で通過していく。


 夏の太陽が高いところにまで出ていた。


 蒸すように暑い。


 すでにスーツ下のワイシャツは汗だくだった。


 助手席に座り、前方を見つめながら、


「段野は本当に今回の事件には無関係なんでしょうか?」


 と言ってみる。


「ああ。単なるチンピラの暴力沙汰だ。気にするな」


 伊里町はあくまで冷静だ。
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